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日野のトラックでアドブルーがいらない仕組みを解説
日野のトラックで日々の業務を行う際、アドブルー(尿素水)の補充作業や継続的なコスト負担に悩んでしまった経験はないでしょうか。独自の技術を採用した適切な車種や排ガス浄化システムを選択すれば、液剤の管理から解放されるスムーズな運用を実現できます。
この記事では、日野のトラックでアドブルーがいらない仕組みや採用されていた技術に加え、運用上の利点や専用タンクが不要になるメリットまで詳しく解説します。尿素フリー仕様のトラック導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
日野のトラックでアドブルーがいらない仕組み
日野のトラックの一部車種には、かつてアドブルーを使用せずに排気ガスを浄化する独自の仕組みが採用されていました。現在は中古車でのみ入手できる状況ですが、以下にアドブルーが不要となる仕組みの概要と主な特徴をまとめています。
| 項目 | 内容・特徴 |
|---|---|
| 採用技術 | HC-SCR(炭化水素選択還元触媒・尿素フリーのNOx還元技術) |
| 主な搭載車種 | デュトロ(N04C/HC-SCR)・レンジャー(A05C/HC-SCR)の一部モデル |
| 最大のメリット | アドブルーの補充コストと手間がゼロになる |
| 車両への影響 | 専用タンクが不要となるため架装スペースが広がる(車種・架装条件による) |
この仕組みは、維持費の削減や車体の省スペース化に貢献する設計でした。なお、2026年現在の日野の現行新車は尿素SCR方式が主流となっています。
ここからは、HC-SCR技術の具体的な仕組みや補充不要のメリット、導入時の注意点について、順番に解説します。
HC-SCR技術で排気ガスを浄化する
日野の中型・小型トラックの一部には、かつてNOx(窒素酸化物)を浄化するためにHC-SCR(Hydro Carbon Selective Catalytic Reduction:炭化水素選択還元触媒)という技術が搭載されていました。このシステムは、軽油から生成したHC(炭化水素)を還元剤として利用するのが特徴で、レンジャー(A05C)では平成22年排ガス規制対応モデルから初採用され、平成28年排ガス規制でも継続採用されました。
自動車技術会は、このシステムの開発経緯について、次のように記載しています。
解決方策として、炭化水素(軽油)を反応促進剤として排出ガス中のNOxを低減するHC-SCR反応に着目し、NOx浄化とPM除去を同時に実現するシステムを追求した。
出典:自動車技術会 尿素水を必要としない中小型ディーゼル車用NOx、PM後処理システム
HC-SCRが排気ガスをクリーンにする仕組みは、以下の通りです。
- 排気管に軽油を追加噴射するなどして発生したHC(炭化水素)を還元剤に利用する(デュトロのN04Cでは排気ガス中の未燃焼HCも活用)
- 特殊な触媒を通してNOxを水と窒素に分解する
- 外部から尿素水を供給するシステムを必要としない
HC(炭化水素)を還元剤として利用することによって、アドブルーを使わずに排ガス規制に対応できました。ただし、尿素SCR方式と比較するとNOx削減率が30〜40%程度低いとされており、この性能上のトレードオフについては、後述の注意点の章で詳しく解説します。
アドブルーを補充する手間を省ける
尿素フリーの車種を選ぶ最大の利点は、定期的な液剤補充の手間とコストを削減できることです。長距離輸送や頻繁な稼働が求められる現場では、この違いが大きく影響します。
補充作業が不要となることで得られる具体的なメリットは、以下の通りです。
- アドブルーの購入費用や在庫管理の負担がなくなる
- 尿素SCR車で発生しうる出力制限や再始動制限のリスクを回避できる
- 補充作業にかかるドライバーの労働時間を削減できる
特に、長距離ルートを走る事業所にとっては、出先での補給スタンド探しといった精神的な負担も軽減されます。アドブルー代の節約と燃費への影響を総合的に検討したうえで、ランニングコストを比較することをおすすめします。
専用タンクが不要で省スペース化できる
アドブルーを使用しないシステムでは、液剤を貯蔵するための専用タンクを車両に搭載する必要がない構造です。これにより、トラックの限られたシャシー周りの空間を有効に活用できます。
タンクを搭載しないことによる物理的な利点は、以下の通りです。
- シャシー側面の空きスペースが広がり、架装の自由度が上がる(車種・架装条件による)
- 大容量の燃料タンクや工具箱などを追加で設置しやすい
- 尿素水タンクの重量分だけ車両全体を軽量化できる
スペースに余裕が生まれることは、パッカー車やクレーン付きトラックなど、複雑な架装を必要とする特装車にとって有利です。積載量や作業効率を最適化したい場合に有効な選択肢となります。
アドブルーがいらない日野車の注意点
HC-SCR技術を採用したトラックは手軽さが魅力でしたが、いくつか留意すべき点が存在します。中古車での導入前に確認しておきたい主な注意点をまとめました。
| 注意点 | 概要 |
|---|---|
| 出力面の懸念 | 一部ユーザーでパワー感不足の声がある(メーカー公式の出力比較諸元は公開されていないが、業界誌等では尿素SCR比でNOx削減率が30〜40%程度低いとされている) |
| 燃費への影響 | 運転条件によっては燃費差が生じる場合がある(実測比較データなし・条件依存) |
| 行政処分・型式指定問題 | 排ガス不正問題によりエンジン型式ごとに異なる対応あり(型式指定取消・出荷停止・再申請断念を含む) |
それぞれの注意点について、以下で詳しく解説します。
尿素SCR仕様に比べて体感的な加速感・登坂感に差がある
アドブルーを不要とするHC-SCR搭載車については、一部ユーザーから尿素SCR仕様の車両と比べてパワー感が不足するという声が寄せられています。ただし、メーカー公式の出力比較諸元は公開されておらず、実際の差はエンジン仕様や積載条件、ギア比等によって、大きく左右されると言えるでしょう。
積載量が多い状況や坂道での走行時に感じやすいとされる影響は、以下の通りです。
- 発進時や加速時に通常以上のアクセル操作が求められる場合がある
- 重量物を運搬する際にスピードが落ちやすいと感じることがある
- 長距離の勾配が続くルートでは運転疲労に繋がりやすい場合がある
運送業務のルートや積載重量によっては、尿素SCR仕様車との慎重な比較が必要です。実際の使用環境を考慮したうえで判断することをおすすめします。
尿素SCR仕様に比べて燃費が低い場合がある
HC-SCR搭載車は、尿素SCR仕様と比べて運転条件によっては、燃費差が生じる場合があります。HC-SCRは追加燃料噴射を伴うことがあり、実運用での差は積載状況や走行ルートに依存するため、実測による比較データは存在しません。
燃費への影響がもたらす主な懸念事項は、以下の通りです。
- 燃料代の増加によってアドブルー代の節約分が相殺される場合がある
- 給油の頻度が増え、運行スケジュールに影響を及ぼすことがある
- 車両の耐用年数を通じてトータルコストが膨らむ可能性がある
導入を検討する際は、アドブルーにかかる費用と燃料代の増減を総合的に計算したうえで、運用コストを比較することをおすすめします。
排ガス不正問題による出荷停止・型式指定取消に注意
日野自動車は排ガス・燃費試験における不正行為を認定されましたが、HC-SCR搭載モデルへの影響はエンジン型式ごとに異なります。公式発表では認証不正が問題視されており、A05C(HC-SCR)については「経年変化により、規制値を超過する可能性を認識しながら試験を継続した」という性質の不正、N04C(HC-SCR)については「認証プロセスの不備」が主な問題とされており、両エンジンで不正の性質が異なりました。
車種・エンジン別の対応状況は、以下の通りです。
- デュトロ(N04C/HC-SCR 2019年モデル):2022年8月に出荷停止。その後2022年9月9日に国土交通省が排ガス規制適合を確認し出荷再開。リコールは未実施
- レンジャー(A05C/HC-SCR):リコール届出あり(2022年3月)かつ型式指定取消処分。型式再申請も断念(2025年5月)しており、今後の新車販売は行われない
特に型式指定の取消は行政上最も重い処分であり、中古車を購入する際は車検に適合した状態かどうかの確認が不可欠です。購入前に確認すべき主な事項をまとめました。
- 対象車両の車台番号と国土交通省リコール情報サービスでの照合
- ディーラーでの無償修理やプログラム書き換えの履歴
- 最新の車検基準を満たしているかの証明書類
適切な対応が済んでいない車両を運用すると、法的なトラブルや思わぬ故障に繋がるリスクがあります。日野自動車「ご使用中の車両について」では対象車種の最新情報が確認可能です。
日野のアドブルーがいらない車種に関するよくある質問
DPR(日野のDPF相当装置)関連のトラブルは発生しやすいですか?
日野自動車では「DPR」という独自の後処理装置(DPF相当)が搭載されており、HC-SCRとは別系統ですが排ガス規制強化に伴い後処理システムが複雑化しているため、トラブルが発生する可能性はあります。特に、短距離走行やアイドリングが多い環境では、ススが溜まりやすくなるのが特徴です。
警告灯が点灯した際は、強制再生(車種により、手順が異なります)や販売店での点検を実施してください。定期的なメンテナンスを行うことによって、故障リスクを抑えられます。
アドブルー不要のデュトロやレンジャーは中古で買えますか?
デュトロ(N04C/HC-SCR)は2022年9月に国土交通省が排ガス規制への適合を確認し出荷が再開されているため、現在は新車での入手が可能な状態です。一方、レンジャー(A05C/HC-SCR)は型式指定取消後に再申請も断念(2025年5月)しており、新車での入手はできません。
中古車として流通はしていますが、年式やモデルによっては、流通量が限られる場合があります。購入を検討する際は、日野自動車の公式サイトでリコール・型式指定状況を確認のうえ、複数の販売店で在庫状況を確かめてください。
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