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アドブルー警告灯の意味は?対処法や点灯パターン、原因などを解説

ディーゼル車のメーター内にアドブルー警告灯が点灯すると、残量不足なのかセンサー異常なのか、補充すればすぐに消えるのか、そもそもどのくらい走れるのかが分からず不安になる方は多いです。警告灯の色が黄色(橙色)か赤色か、点灯か点滅かによって意味と緊急度が大きく変わるため、正しい読み取りが欠かせません。

また、警告灯が点灯する原因は残量不足だけとは限らず、NOxセンサーや噴射装置の不具合などメーカー診断が必要なケースもあります。補充しただけでは警告灯が消えない状況も起こり得ます。

この記事では、アドブルー警告灯の色と点灯パターンの意味、段階的な警告表示の流れ、残量不足以外の3大原因、補充後も警告灯が消えないときの対処までを総合的に解説します。


アドブルー警告灯の色とランプの意味

アドブルー警告灯は、尿素SCRシステムの状態をドライバーに知らせるインジケーターで、色と点灯パターンによって緊急度が段階的に表示されます。アドブルーとは、ディーゼルエンジンの排気ガスに含まれるNOx(窒素酸化物)を還元するために噴射される高品位尿素水のことで、この薬液が不足したりシステムに異常が発生すると警告灯が点灯します。アドブルー警告灯の意味を正しく理解するには、以下の3つの観点を押さえる必要があります。

  1. 黄色(橙色)の警告灯は注意・残量低下を示す
  2. 赤色の警告灯は緊急・再始動不可リスクを示す
  3. 点灯と点滅で意味が異なるケース

それぞれ色と点灯パターンが示すシステム状態が異なり、対処の緊急度も変わります。赤色や点滅状態を放置するとエンジン再始動不可に直結するため、見分け方を確実に押さえておくことが必要です。

それでは各項目について、詳しく解説していきます。

黄色(橙色)の警告灯は注意・残量低下を示す

黄色または橙色のアドブルー警告灯は、システムが正常範囲を外れ始めていることを知らせる「注意レベル」の表示です。多くのメーカーでは、尿素水タンクの残量が一定値を下回ったタイミングで点灯を開始し、ドライバーに早めの補充を促します。点灯しても直ちに走行不能になるわけではなく、早期対応を促す予告的な役割が中心です。

黄色(橙色)警告灯が意味する主な状態は、以下の通りです。

  • 尿素水タンクの残量低下
  • タンクレベルセンサーの軽度異常
  • 後処理装置(SCR)の軽度不調

三菱ふそうキャンターでは、アドブルーチェックランプが橙色で点灯すると、残量低下のほかセンサー異常や後処理装置異常も表示対象になります。黄色(橙色)の段階で補充や点検を行えば、赤色への進行と再始動不可を未然に防げます。

赤色の警告灯は緊急・再始動不可リスクを示す

赤色のアドブルー警告灯は、システムが許容限界を超えた「緊急レベル」の表示であり、放置するとエンジンの再始動ができなくなる段階を意味します。赤色警告灯が点灯した時点で、ドライバーはできるだけ早く安全な場所に停車し、尿素水の補充または整備工場での診断を行う必要があります。走行中にすぐエンジンが止まるわけではありませんが、一度エンジンを停止すると再始動が制限されるため、補充前のキーオフは避けるべきです。

赤色警告灯が示す主な状態を、以下の表にまとめました。

状態 意味
残量ゼロ 尿素水タンクが空、再始動不可直前
NOx異常 NOxセンサー故障や信号異常
噴射不良 ドージングモジュールの詰まり
再始動NG エンジン停止後に始動不可

尿素SCR未作動のまま走行することを防ぐ目的で、赤色警告灯+再始動制限は国際的な排出ガス規制に沿った仕様として導入されています。赤色点灯時は、キーをオフにする前に補充または整備判断を済ませることが必要です。

点灯と点滅で意味が異なるケース

アドブルー警告灯は、同じ色でも「点灯」と「点滅」で意味が変わる場合があり、特に三菱車では点滅が特定の動作状態を示すサインとして使われます。点灯は残量低下や異常検知を示す静的な警告、点滅は補給後のシステム確認中など動的な状態を示す合図として区別されます。点灯と点滅を混同して対処するとトラブルシューティングを誤るため、それぞれが何を意味するかを押さえておく必要があります。

以下は、点灯と点滅の違いを整理した一覧です。

表示 主な意味 緊急度
黄橙点灯 残量低下・軽度異常の継続警告
赤点灯 残量ゼロ・重度異常・再始動不可直前
点滅 補給直後のアドブルー品質確認中 低〜中

三菱車の場合、再始動不可状態からアドブルーを補給した直後は警告灯が点滅し、システムが薬液の品質や噴射状態を確認している段階を示します。点滅中はエンジンを切らずに一定時間アイドリングを続けると、システムチェックが完了して警告が解除されるケースが多く、焦って何度もキー操作をしないことが大切です。

アドブルー警告灯が段階的に表示される流れ

アドブルー警告灯は、残量がゼロになった瞬間に突然表示されるわけではなく、走行可能距離が短くなるにつれて段階的に警告が強まる仕組みです。三菱のトライトンやデリカD5などでは、以下の3段階で表示内容が切り替わります。

  1. 残量低下の最初の警告(走行可能距離2,400km以下前後)
  2. 強調警告(走行可能距離1,000km以下)
  3. 走行可能距離0kmで赤色警告と再始動不可

それぞれの段階で警告灯の色やメッセージ表示が変化し、ドライバーに補充の緊急度を伝える役割を持っています。なお、閾値となる走行可能距離は車種やメーカーによって異なるため、下記の数値はあくまで一般的な目安として捉えてください。

それでは各段階について、順番に解説していきます。

残量低下の最初の警告(走行可能距離2,400km以下前後)

残量低下の最初の警告は、アドブルータンクの残量から算出される走行可能距離が約2,400km以下になったタイミングで点灯します。この段階では黄色または橙色のインジケーターが点灯し、メーター内のMID(マルチインフォメーションディスプレイ)に走行可能距離の数値が表示される車種が一般的です。MIDとは、走行情報や警告内容を文字と数値で表示する液晶ディスプレイのことで、警告灯と連動して詳細情報を補足する役割を持ちます。

この最初の警告が表示された段階では、以下のような状況になっています。

  • 走行自体に制限はかからない
  • 色は黄色または橙色で注意レベル
  • 補充までの猶予は比較的長い

ただし、2,400kmという数値は三菱車の仕様を例にした目安であり、車種によっては1,500kmや2,000km程度で最初の警告が出ることもあります。いずれの場合も、この段階で早めに補充計画を立てておくと、赤色警告への進行を避けられるでしょう。

強調警告(走行可能距離1,000km以下)

走行可能距離が1,000km以下になると、警告の表示が強調モードに切り替わります。多くの車種では、インジケーターの色が橙色からより目立つ色に変化したり、点灯に加えて警告音やメッセージ表示が追加されたりして、ドライバーに補充を急ぐよう促します。

この段階の強調警告で見られる変化を、以下の表にまとめました。

項目 最初の警告 強調警告
走行可能距離 約2,400km以下 約1,000km以下
表示色 黄色または橙色 橙色が強調または赤に近い色
メッセージ 残量低下の通知 補充を促す警告
緊急度 注意レベル 要対応レベル

この段階になると、長距離ドライブの途中で残量ゼロに到達するリスクが高まるため、次のガソリンスタンドや用品店での補充を強く推奨します。走行可能距離の数値は補充を怠るほど減少していくため、表示を見逃さず早めに対処することが欠かせません。

走行可能距離0kmで赤色警告と再始動不可

走行可能距離が0kmに到達すると、警告灯は赤色に切り替わり、ドライバーに対して即時補充を求める最終段階の表示となります。赤色警告が点灯した状態でエンジンを切ると、次回以降はエンジンの再始動不可となり、アドブルーを補充するまで車両を動かせなくなります。これはSCR(選択触媒還元)システムが機能していない車両の走行を防ぐための国際的な仕様で、排出ガス規制の遵守を目的としています。SCRとは、アドブルーを排気ガスに噴射し、触媒上でNOx(窒素酸化物)を窒素と水に還元する装置のことです。

赤色警告と再始動不可に関する重要なポイントは、以下の通りです。

  • 走行中は残量0でも即エンストはしない
  • エンジン停止後に再始動ができなくなる
  • 補充後は品質確認のため点滅表示になる
  • 確認完了後に通常始動が可能になる

この段階まで到達した場合、路上でエンジンを切ると自走不可能となる恐れがあります。停止前に必ずアドブルーを補充できる場所へ移動するか、やむを得ず停止する場合は補充用ボトルを用意してから行うことが安全な対応です。

アドブルー警告灯が点灯する3大原因

アドブルー警告灯が点灯する原因は、残量不足だけではありません。尿素SCRシステムは、NOxセンサーや噴射装置など複数の部品が連携して作動しており、どれか一つに異常が発生すると警告灯が点灯する仕組みになっています。主な原因として、以下の3つが挙げられます。

  1. アドブルー残量不足
  2. NOxセンサー・タンクレベルセンサーの異常
  3. 噴射ノズル・ドージングモジュールの詰まり

それぞれ発生頻度や対処難易度が異なり、ユーザー自身で対応できるケースと整備工場での診断が必須のケースに分かれます。以下に、3大原因の特徴を比較した表をまとめました。

原因 発生頻度 対処難易度 対処方法
残量不足 アドブルー補充
センサー異常 診断機・部品交換
噴射系の詰まり 分解洗浄・部品交換

残量不足以外の原因は、スキャンツール(車両の電子制御ユニットと通信して故障コードを読み取る整備用機器)がなければ特定できません。それでは各原因について、詳しく解説していきます。

アドブルー残量不足

アドブルー警告灯が点灯する最も多い原因は、タンク内の残量不足です。アドブルーとは、尿素SCRシステム(ディーゼル車の排出ガス中のNOxを浄化する装置)で使用される高純度尿素水溶液のことで、走行距離に応じて徐々に消費されていきます。残量が一定値を下回ると、車両側のタンクレベルセンサーが検知して警告灯を点灯させる仕組みです。

残量不足が原因となりやすい状況は、以下の通りです。

  • 長距離走行後の補充忘れ
  • 前回給油時の補充漏れ
  • 冬季の消費量増加を見落とす
  • 中古購入時の残量未確認

残量不足の場合は補充のみで警告灯が解消するケースがほとんどで、ユーザー自身で対処できます。ただし、再始動不可の状態(赤色警告灯点灯)まで進行させた後に補充した場合は、車両が新しい液の品質を確認する工程に入るため、警告が消えるまでに数分のアイドリングや短距離走行が必要になることがあります。

NOxセンサー・タンクレベルセンサーの異常

残量が十分にあるにもかかわらず警告灯が点灯する場合、NOxセンサーやタンクレベルセンサーの異常が疑われます。NOxセンサーとは、排気ガス中の窒素酸化物濃度を検知してSCR触媒の浄化状況を監視する部品で、経年劣化や煤の付着によって出力値が狂うと警告灯が点灯します。

センサー異常の主な発生パターンを、以下の表にまとめました。

部位 役割 異常の兆候
NOxセンサー 排気中NOx濃度を検知 浄化異常コード
レベルセンサー タンク残量を検知 残量表示の不整合
温度センサー 液温・排気温を検知 凍結判定の誤作動

三菱ふそうキャンターでは、NOxセンサー異常や尿素水タンクが空のときに赤色のアドブルーチェックランプが点灯する仕様になっており、センサー系の異常は赤色警告につながりやすい傾向があります。センサーは消耗部品であり、走行距離が長くなるほど故障率が上がります。

センサー異常が疑われる場合は、ディーラーや整備工場でスキャンツールによる故障コード読み取りと、該当センサーの交換を受ける必要があります。ユーザー自身での修理はほぼ不可能なため、早めに入庫することが現実的な対処になります。

噴射ノズル・ドージングモジュールの詰まり

3つ目の原因は、アドブルーを排気管内に噴射する噴射ノズルや、噴射量を制御するドージングモジュールの詰まりです。ドージングモジュールとは、ECU(エンジン制御ユニット)の指令に従ってアドブルーを霧状に噴射するための計量・噴射ユニットのことで、SCR触媒の上流側に取り付けられています。

詰まりが発生する主な要因は、以下の通りです。

  • アドブルーの結晶化による析出物
  • 長期放置による液の変質
  • 品質基準外の尿素水の使用
  • 高温環境での噴射ノズル周辺の堆積

アドブルーは尿素32.5%と高純度水の水溶液で、温度変化や空気接触によって結晶化しやすい性質があります。結晶がノズル先端や配管に付着すると、正常な噴射ができずECUが異常を検知して警告灯を点灯させます。短距離走行ばかりで排気温度が十分に上がらない車両や、長期間使用されなかった車両で発生しやすい傾向があります。

噴射系の詰まりは、専用の洗浄剤による分解洗浄や、ドージングモジュール自体の交換が必要になるケースが多く、部品代と工賃を合わせて数万円から十数万円規模の修理になることもあります。結晶化の予防には、規格に適合したアドブルーの使用と、長期間停車させる場合でも定期的にエンジンを稼働させて排気温度を上げることが有効です。

トラック・メーカー別のアドブルー警告表示パターン

アドブルー警告灯の基本的な仕様は共通していますが、表示位置やランプの色分け、文字表示の有無などはメーカーや車種によって細かく異なります。ここでは三菱ふそうや三菱自動車、日野、いすゞなど主要メーカーにおける警告表示の傾向を、以下の3つに分けて整理します。

  1. 三菱ふそうキャンターのアドブルーチェックランプ(赤・橙)
  2. 三菱トライトン・デリカD5のMID走行可能距離警告
  3. 日野・いすゞなど他メーカーの警告表示傾向

それぞれのメーカーで警告の色分けや段階表示の考え方に違いがあり、正しく読み取ることで不要な走行不能トラブルを防げます。まずは全体像を比較表で確認し、そのあと各メーカーの特徴を個別に見ていきます。

以下は主要メーカーのアドブルー警告表示パターンを比較した一覧表です。

メーカー/車種 色分け 表示形式
三菱ふそうキャンター 橙色と赤色の2段階 アドブルーチェックランプ
三菱トライトン等 黄色から赤色へ変化 MID走行可能距離表示
日野・いすゞ他 黄色・赤色が基本 ランプ+メッセージ

この表からわかる通り、基本的な色の考え方(橙/黄=注意、赤=緊急)は共通ですが、走行可能距離を数値でMID(マルチインフォメーションディスプレイ)に出すかどうかなど表示形式には差があります。MIDとは、メーター内に走行情報や警告メッセージを表示する多機能ディスプレイのことで、近年の多くの乗用車・トラックに搭載されています。それでは各項目について、詳しく解説していきます。

三菱ふそうキャンターのアドブルーチェックランプ(赤・橙)

三菱ふそうのキャンターでは、アドブルー関連の警告を「アドブルーチェックランプ」として橙色と赤色の2種類で区別しています。橙色は注意喚起レベル、赤色は緊急レベルという色分けで、同じランプでも意味が大きく異なるため、運転者は点灯色を必ず確認する必要があります。

以下は、キャンターのアドブルーチェックランプの色ごとの意味と主な点灯要因をまとめた表です。

点灯色 主な意味 想定される要因
橙色 注意・早めの確認が必要 残量低下
センサー異常
後処理装置異常
赤色 緊急・走行継続が困難 NOxセンサー異常
尿素水タンクが空

橙色の時点で整備や補充の準備に入り、赤色が点灯した場合は速やかに安全な場所に停車して補充や点検を行うのが基本です。赤色のまま走行を続けると、停車後にエンジンが再始動できなくなるおそれがあるため、走行中の再始動不可リスクを意識して早めに対応することが大切です。

三菱トライトン・デリカD5のMID走行可能距離警告

三菱自動車のトライトンやデリカD5では、アドブルー警告をMID(マルチインフォメーションディスプレイ)上の走行可能距離表示として段階的に示す方式が採用されています。単なる警告灯の点灯だけではなく、あと何km走れるかを数値で確認できるため、補充タイミングを計画的に判断しやすい仕組みです。

以下は、三菱トライトン・デリカD5で走行可能距離の値に応じて変化する警告の段階をまとめた表です。

走行可能距離 警告の状態 推奨アクション
約2,400km以下 黄色の注意表示 早めの補充計画
約1,000km以下 強調警告に変化 数日以内に補充
0km 赤色+再始動不可 直ちに補充と点検

距離が短くなるほど警告の強度が上がり、0kmに到達するとエンジンを停止した時点で再始動できなくなる仕様です。三菱ふそう・三菱自動車の公式な警告仕様については、以下の公式サイトで車種別の取扱説明書を確認できます。

取扱説明書は、各車種ページから電子版を閲覧いただけます。ご使用のお車に合わせた最新の取扱説明書をご確認ください。

出典:三菱自動車 お客様サポート 取扱説明書

日野・いすゞなど他メーカーの警告表示傾向

日野自動車やいすゞ自動車など他メーカーの大型・中型トラックでも、アドブルー警告の基本的な考え方(黄色・橙色=注意、赤色=緊急)は国際的な排出ガス規制に沿っており共通しています。ただし、ランプのデザインやMIDへのメッセージ表示位置、段階表示の閾値などはメーカーや年式、車両グレードによって細かく異なります。

他メーカーの警告表示を読み取る際に共通して押さえておきたいポイントは、以下の通りです。

  • 色で緊急度を判断する
  • MIDの文字表示を併読する
  • 取扱説明書で意味を確認
  • 警告コードは整備工場で確認

特に日野・いすゞのトラックは、警告灯に加えて車載ディスプレイにメッセージコードが表示されるケースがあり、コード番号を整備担当者に伝えることで原因特定が速くなります。細かい挙動は車両ごとに異なるため、取扱説明書の確認が最も確実な方法です。国土交通省も、ディーゼル重量車の尿素SCRシステムにおける警告表示および走行制限について基準を定めています。

尿素水等の補給を促すための警報装置の備付け及びその作動が規定されており、尿素水等が不足した状態で走行が継続されないよう制御する機能を備えなければならない。

出典:国土交通省 自動車の排出ガス規制(ディーゼル重量車)

いずれのメーカーでも、警告灯の点灯を放置すると赤色警告と再始動不可の段階に進むリスクがあるため、早期の補充や点検が共通して推奨されます。

アドブルー警告灯が点灯したときの対処手順

アドブルー警告灯が点灯したときは、慌てて運転を続けたり無視したりせず、落ち着いて段階的に対処することが鍵となります。対処の流れは、以下の3つの手順で進めると安全です。

  1. 点灯直後にまずは走行可能距離を確認する
  2. 残量不足なら補充する
  3. 補充しても消えない場合は診断機でリセットする

それぞれの手順では、確認する項目や作業のポイントが異なり、順番を守ることによって無駄な出費やトラブルを避けられます。特に3つ目の診断機によるリセットは、ディーラーや整備工場の専門作業です。

それでは各項目について、詳しく解説していきます。

点灯直後にまずは走行可能距離を確認する

警告灯が点灯したら、最初にメーターディスプレイでアドブルーの走行可能距離を確認することが最優先です。走行可能距離とは、現在のアドブルー残量で走れる推定距離を車両側が算出した数値のことで、この値によって緊急度と次の行動が変わります。

走行可能距離ごとの対応目安は、以下の通りです。

走行可能距離 緊急度 推奨行動
2,400km前後 早めの補充を計画
1,000km以下 速やかに補充
0kmに接近 即座に補充、エンジン停止回避

走行可能距離が0kmに近づくほど、エンジン停止後に再始動できなくなるリスクが高まります。遠方への移動前や長距離走行の前には、この数値を必ずチェックしておきましょう。

残量不足なら補充する

走行可能距離が減少しており、警告灯の原因が残量不足と判断できる場合は、アドブルーを補充することによって警告灯が消灯します。補充作業は給油口とは別のアドブルー専用注入口から行い、車種ごとに指定された容量を守ることが前提となります。

補充時に押さえておきたいポイントは、以下の通りです。

  • ISO22241規格適合品を使用する
  • 専用注入口から入れる
  • 満タンまで入れずタンク容量の8〜9割に抑える
  • こぼした場合は水で洗い流す

ISO22241は、アドブルーの純度や組成を定めた国際規格で、SCRシステム(尿素選択還元触媒)を備えたディーゼル車で使用する尿素水溶液の品質基準です。規格外の液体を入れると触媒が損傷し、修理費が高額になるため避ける必要があります。

This document specifies the characteristic data for the NOx reduction agent AUS 32 (aqueous urea solution 32.5 %) which is needed to operate SCR converters installed in diesel vehicles.

出典:ISO 22241-1:2019 - Diesel engines — NOx reduction agent AUS 32

補充後は数分間のアイドリングや短距離走行を行うと、システムが残量を再検知して警告灯が消える仕組みです。すぐに消えない場合でも、数十キロ走行した段階で消灯するケースがあります。

補充しても消えない場合は診断機でリセットする

アドブルーを規定量まで補充したにもかかわらず警告灯が消えないときは、タンクレベルセンサーの故障やNOxセンサーの異常、噴射系の詰まりなど残量以外の原因が疑われます。これらのトラブルは車両側のECU(電子制御ユニット)に故障コードとして記録されており、スキャンツールを使って読み取り・リセットする必要があります。

診断機によるリセット作業の一般的な流れは、以下の通りです。

  1. OBD-IIポートに診断機を接続する
  2. 車両型式を選択し故障コードを読み取る
  3. 原因箇所を特定し整備する
  4. 故障コードを消去しリセットを実行する
  5. 試走で警告灯が再点灯しないか確認する

OBD-IIとは、車両の自己診断機能にアクセスするための国際標準規格で、運転席足元付近にある16ピンのコネクタを通じて故障情報を取得できます。専用スキャンツールは高価で車種別の対応可否も分かれるため、ディーラーや専門整備工場に依頼するのが現実的です。

依頼先を選ぶときに確認したい項目は、以下の通りです。

依頼先 特徴
正規ディーラー 純正診断機で確実な対応、費用は高め
SCR対応整備工場 汎用診断機で対応、費用はディーラーより安価
一般整備工場 ディーゼル車対応の可否を事前確認、非対応の場合あり

費用や作業時間は故障箇所によって大きく異なるため、事前見積もりを取ったうえで作業を依頼すると安心です。センサー交換やドージングモジュールの洗浄が必要な場合、部品代込みで数万円から十数万円程度の費用になることがあります。

アドブルー警告灯に関するよくある質問

アドブルー警告灯については、走行可能距離や補充後の挙動、エンジンチェックランプとの違いなど、実際にメーターを確認した運転者から同じような質問が繰り返し寄せられます。ここでは代表的な4つの疑問について、車種別の傾向や排出ガス規制の仕組みも踏まえて解説します。

警告灯が点いてから何キロ走れるのか

アドブルー警告灯が点灯してから走行できる距離は、車種やメーカーによって異なりますが、おおむね1,000kmから2,400kmの範囲が目安となります。これはSCRシステム(選択触媒還元システム)の残量計算ロジックが車両ごとに設定されているためで、同じ残量でも警告が出るタイミングが変わります。SCRシステムとは、尿素水溶液であるアドブルーを排気ガスに噴射してNOx(窒素酸化物)を無害化する排出ガス後処理装置のことで、ディーゼル車の環境性能を支える中核部品です。

以下は、代表的な車種における警告灯点灯後の走行可能距離の目安です。

車種分類 最初の警告 強調警告
三菱デリカD5等 2,400km以下 1,000km以下
輸入乗用車 約2,400km前後 約1,000km前後
国内トラック 残量5%前後で警告 メーカーにより異なる

上記はあくまで一般的な目安であり、運転状況や積載量によって実走行距離は前後します。走行可能距離はメーター内に具体的な数値で表示されるため、必ずその数値を確認して早めに補充計画を立てることをおすすめします。

補充したのに警告灯が消えないのはなぜか

アドブルーを規定量まで補充しても警告灯が消えない場合、残量以外の要因が絡んでいる可能性が高いです。具体的にはタンクレベルセンサーの誤検知、NOxセンサーの異常、走行可能距離0km状態で一度停止した後の品質確認モードなど、車両側の制御が「補充完了」と判定できていない状況が考えられます。

補充後に警告灯が消えないときの主な原因は、以下の通りです。

  • 一定距離の走行によるリセット待ち
  • タンクレベルセンサーの故障
  • 品質確認モードで点滅が継続
  • スキャンツールでのリセットが必要

特に走行可能距離が0kmに達してから補充した場合、三菱車などでは警告灯が点滅状態に移行し、一定時間のアドブルー品質確認を経るまで消灯しません。それでも消えないときは、スキャンツール(診断機)で故障コードを読み取り、正規ディーラーや整備工場でリセット作業を依頼する必要があります。スキャンツールとは、車両のECU(エンジンコントロールユニット)と通信してエラー情報の読み出しや消去を行う専用機器のことです。

クリスタライズ(結晶化)が発生するとAdBlueの噴射が阻害され、NOxを適正に低減できなくなるため、警告灯の点灯やSCRシステムの異常コードが出力されることがあります。

出典:国土交通省 自動車リコール・不具合情報

エンジンチェックランプとアドブルー警告灯は同じものか

エンジンチェックランプとアドブルー警告灯は、別系統の警告灯です。エンジンチェックランプはエンジン全体の制御異常を通知する黄色のランプで、一方のアドブルー警告灯はSCRシステム専用に設けられた警告灯として、残量低下や後処理装置の不具合を通知します。ただし、アドブルー系統の故障が重度になるとエンジンチェックランプも同時に点灯するケースがあるため、見た目が似ていても意味は区別する必要があります。

以下は、エンジンチェックランプとアドブルー警告灯の違いをまとめた比較表です。

項目 エンジンチェックランプ アドブルー警告灯
黄色が一般的 黄色・橙色・赤色
対象 エンジン制御全般 SCRシステム専用
表示 エンジン形のアイコン AdBlueや尿素水文字
併発 単独で点灯 重度時に併発

つまり両者は独立した警告系統ですが、アドブルー関連の異常が深刻化するとエンジンチェックランプも点灯することがあるため、両方が同時点灯している場合はSCRシステム周りの故障を最優先で疑うとよいでしょう。どちらのランプが点いているかを正確に見分けることで、原因の切り分けがスムーズになります。

警告灯を無視して走行するとどうなるか

アドブルー警告灯を無視して走行を続けると、最終的にはエンジンを停止した後に再始動ができなくなります。走行中にエンジンが急停止するわけではありませんが、赤色警告+再始動不可のフェーズに到達すると、信号待ちやガソリンスタンドでエンジンを切った時点で次の始動ができなくなり、レッカー搬送が必要になるケースもあります。これは尿素SCRが機能しない状態での走行を防ぐ国際的な排出ガス規制への対応です。

警告灯を無視して走行した場合に起こりうる流れは、以下の通りです。

  1. 黄色警告で残量低下を通知
  2. 赤色警告で残量ゼロ近辺に到達
  3. エンジン停止後に再始動不可
  4. レッカー搬送と診断機対応

一度再始動不可の状態に陥ると、アドブルーを補充するだけではエンジンがかからない車種もあり、スキャンツールでの品質確認やリセットが必要です。警告灯が点灯した段階で早めに補充し、消えない場合は整備工場に相談することが、余計な費用と時間を避ける最善の方法といえます。

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